03_生前の話:幼少の頃
ナポレオナスの植物好きは、幼少の頃からだ。
今でこそ"ああ"であるが、幼少期は非常に大人しい子供だった。
両親以外には人見知りしがちで、皇族として、第一皇子としての時間より、花を愛でる時間の方が好きだった。
周囲の文官や一部の侍女からは『男児らしくない』と言われていた。
そんなナポレオナスを、両親だけは否定しなかった。
父帝からは『お前が好きな物を好きなままで在れるよう、平和に過ごせる世の中にしてみせるからな』と。
母親からは『花を好む程に心優しい、そんなお前が好きよ』と。
幼いナポレオナスは、そう言って笑ってくれる両親が、大好きだった。
しかして。
或る時を境に、母親はナポレオナスに熱心な教育を強いるようになった。
其れは、ナポレオナスが8歳の頃。
母親が弟か妹を身籠り、だが些細な事故が発端の高熱病によって流れてしまった後。
暫く癇癪気味だった後、何かに取り憑かれたかの様に、愛息子に英才教育を強要し始めたのだ。
其れでも。
其れでも、ナポレオナスは、母親に応えようと、精一杯努力した。
己の夢を鎖し、母親の言いつけを守り、第一皇子として毅然と在ろうと。
母上が怒るのは、怖かったから。
母上には、昔みたいに、笑っていて欲しかった、から――
今でこそ"ああ"であるが、幼少期は非常に大人しい子供だった。
両親以外には人見知りしがちで、皇族として、第一皇子としての時間より、花を愛でる時間の方が好きだった。
周囲の文官や一部の侍女からは『男児らしくない』と言われていた。
そんなナポレオナスを、両親だけは否定しなかった。
父帝からは『お前が好きな物を好きなままで在れるよう、平和に過ごせる世の中にしてみせるからな』と。
母親からは『花を好む程に心優しい、そんなお前が好きよ』と。
幼いナポレオナスは、そう言って笑ってくれる両親が、大好きだった。
しかして。
或る時を境に、母親はナポレオナスに熱心な教育を強いるようになった。
其れは、ナポレオナスが8歳の頃。
母親が弟か妹を身籠り、だが些細な事故が発端の高熱病によって流れてしまった後。
暫く癇癪気味だった後、何かに取り憑かれたかの様に、愛息子に英才教育を強要し始めたのだ。
ナポレオナスは、何も知らなかった。
母親が、父帝の側室 を心底毛嫌っていた事を。
其の些細な事故―皇居に迷い込んだ青い眼の野良猫に引っ掻かれた―と流産を『側室が咒ったのだ』と決めつけ、強く怨んでいた事 を。
其れから暫く経って、側室の方が身籠り、男児 を産んだ事を。
側室が亡くなった後、残された男児を母親が引き取り、離れに幽閉し、侍女達に飼育 させていた事を。
当時は、何一つ、知らされなかったのだ。
其の些細な事故―皇居に迷い込んだ青い眼の野良猫に引っ掻かれた―と流産を
其れから暫く経って、側室の方が身籠り、
側室が亡くなった後、残された男児を母親が引き取り、離れに幽閉し、侍女達に
当時は、何一つ、知らされなかったのだ。
其れでも。
其れでも、ナポレオナスは、母親に応えようと、精一杯努力した。
己の夢を鎖し、母親の言いつけを守り、第一皇子として毅然と在ろうと。
母上が怒るのは、怖かったから。
母上には、昔みたいに、笑っていて欲しかった、から――