転機

ENo.76.朝比奈 悠 / 作成:2026/08/28 00:47 / 更新:2026/08/28 00:50
18歳の頃、急に体調を崩して倒れてしまった。
気付いた時には病室に居て、先生が不安そうに顔を覗き込んでいた。

地下室で倒れているのを使用人が見つけて
父さんから病院に運ぶように指示されたらしい。

嬉しかった。もう何年も会いに来てくれなかったけど、俺の事を心配してくれたんだと思った。
違うって気づいたのは大分後のことだったけど

病室はとても居心地が良かった。
誰からも罵られないから
先生も看護師さんもとても優しくしてくれた。

ただの体調不良かと思ったが
どこをどう調べても異常はないのに
日に日に少しずつ身体は動かなくなっていく。
原因不明の病だと判断された。

罰が当たったんだと思った。
俺が役立たずだから、無価値なゴミだから
いつまでも家族の役に立てない自分への罰だと。

毎日毎日苦しくて、痛くて、辛くて、
薬が効いている間だけしか、安らげないほどに。
まるで簡単には死なせるものかと言われているかのようで。

退院することも出来ず、俺の居場所は病室のベッドの上になった。
3年も経つと、立ち上がることも難しくなって。
もう二度と立つことは出来ないだろうって、先生は言っていた。

良くなることもなく
ただ悪くなる一方

父さん達は一度も見舞いには来てくれなかった

別にそれでも構わなかった
もうとっくに疲れ果てていたのだ
何の期待にも応えられず
誰の役にも立たない、無能で無価値なゴミ
生きていて何になるというのだろう


そんなある日、突然病室のドアが叩かれる。
回診かと思いどうぞ、と声を掛けるとゆっくりとドアが開き
そこには見知らぬ青年が立っていた。

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???
「こんにちは。突然すまない。隣の病室に居る者だけど、退屈だから話をしにきたんだ」

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ユウ
「…へっ?あっ、ええと、こ、こんにちは…。…俺と話をしに…?」

先生と看護師さん以外の人を見るのは久しぶりだった。
真っ白で綺麗な男の人。
見惚れていると小さく笑われる。
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???
「入院生活は酷く退屈でね。君が嫌じゃなければ話し相手になってくれないか?」

それが、彼との出会いだった。