幕間 ~次代の決意
――前帝ディミトリオスの葬儀後、第二皇子の自室にて。
彼の手には、亡くなった父帝の勅命が認 められた手紙 。
跡形も無く消された内容が在るなんて、知る由も無い。
セオドール・アレクサンテリ・メナス・ヒルデブラント 。
前帝ディミトリオスと其の側室マリエッタの子であり、帝国で唯一青い眼 を持つ異質の者。此の時点では12歳の未成年。
側室マリエッタは産まれて間も無い棄児だった処を当時の帝国侍女長に拾われ育てられた女性であり、其の生立ちと異質な眼の色から養親とディミトリオス帝以外には白い目で見られ続け、正室カタリーナから不可視の差別を受け続け、セオドールを産んで半月程で鬼籍となった。
セオドール自身は正室派の侍女達による飼育 で5年を過ごし、状況を正確に把握した父帝により救助され、ダルガイラスという教育係 を充てがわれて育ち、今に至る。
彼が即位すれば、異例となる"帝国史上最も幼い皇帝"が誕生する事となる。
傍に仕える教育係の護衛騎士が、問う。
手紙に向けていた視線を、ダルガイラス に向ける。
誰よりも、セオドール自身が、理解していた。
己は、きっと宰相にとって都合の良い傀儡である事を。
えっとね、と。
歳の割には拙い口調で、懸命に、伝えようとする。
此れまでの皇帝や、他国とは違うやり方で臨む、和平への道。
其れ即ち――助け合いと共存に依って、安定した平和を実現させる事。
其れが、セオドールが実現させたい、たった一つの願い。
此の第二皇子、意外に頑固な処が在る。
其れを理解しているが故に――教育係は、もう、何も言えない。
セオドールにとって、ダルガイラスだけが、自分を理解しようとしてくれる人。
セオドールにとって、ダルガイラスだけが、心から許せる味方。
セオドールにとって、ダルガイラスだけが――
ダルガイラスは知っている、セオドールがどれだけ寂しがり屋か。
ダルガイラスは知っている、セオドールが本音を曝け出す事に抵抗を持つ事を 。
ダルガイラスは知っている、そんなセオドールが数年前に1度だけ、心からの言葉を自分に告げてくれた事を 。
――後日。
ナポレオナス帝の跡を継ぐ新皇帝セオドールの戴冠式が、恙無く行われた。
尤も、殆どの臣下や民は、喜ばしいどころか怪訝な感情で受け止めたが。
其の日。
昼間でも良く視える程に輝く流れ星を、丁度空を見ていた数人が目撃したという。
そして、其の夜――セオドールは"流れ星が自分に向かって飛び込んで、自分の中に入り込む"という夢を視たのだが、其れは誰にも告げられなかった。
――さぁ、逋セ縺ィ蜈ォ蝗樒岼の繧?j逶エ縺 を、始めよう。
セオドール
「…………」
彼の手には、亡くなった父帝の勅命が
跡形も無く消された内容が在るなんて、知る由も無い。
第二皇子セオドールについて
前帝ディミトリオスと其の側室マリエッタの子であり、帝国で唯一
側室マリエッタは産まれて間も無い棄児だった処を当時の帝国侍女長に拾われ育てられた女性であり、其の生立ちと異質な眼の色から養親とディミトリオス帝以外には白い目で見られ続け、正室カタリーナから不可視の差別を受け続け、セオドールを産んで半月程で鬼籍となった。
セオドール自身は正室派の侍女達による
彼が即位すれば、異例となる"帝国史上最も幼い皇帝"が誕生する事となる。
ダルガイラス
「……本当に、よろしいのですか」
傍に仕える教育係の護衛騎士が、問う。
ダルガイラス
「御父上は、貴方の事も大層案じておられた」
「貴方には、貴方の自由が在る」
「貴方には、貴方の自由が在る」
セオドール
「……うん」
ダルガイラス
「……其れでも」
「其の遺言 に、何も言わずに従われるのですか」
「其の
セオドール
「……そう」
「……勅命、は。よっぽど、じゃない、と……従わないと、でしょ?」
「……勅命、は。よっぽど、じゃない、と……従わないと、でしょ?」
手紙に向けていた視線を、
セオドール
「言いたい事、理解る、よ」
「……宰相の、事……だよね?」
「……宰相の、事……だよね?」
ダルガイラス
「……ならば、何故」
セオドール
「……うん」
「でも、ね」
「でも、ね」
セオドール
「あのヒトの、力、知識、経験……私には、必要」
セオドール
「……其れも、ちゃんと……事実……だから」
誰よりも、セオドール自身が、理解していた。
己は、きっと宰相にとって都合の良い傀儡である事を。
セオドール
「だったら……さ」
セオドール
「宰相の事、頑張って、大活躍……させて、あげたいな……って」
ダルガイラス
「なっ……」
セオドール
「あ、えっと」
「理由、ちゃんと……有る、よ?」
「理由、ちゃんと……有る、よ?」
えっとね、と。
歳の割には拙い口調で、懸命に、伝えようとする。
セオドール
「私、ね。実現したい事、有るの」
「……ガイラス、には、話した……よね?」
「……ガイラス、には、話した……よね?」
ダルガイラス
「……えぇ」
「私と出会う前に見た、という"夢"のお話……ですね?」
「私と出会う前に見た、という"夢"のお話……ですね?」
セオドール
「うん」
セオドール
「……私は、此の国で、大陸で……実現、させたい」
セオドール
「互いに助け合って、補い合って、笑い合える平和 を」
セオドール
「人間種だけに限った話じゃなくて、亜人種とかも、一緒に」
セオドール
「……私は、知っている から」
セオドール
「言葉が通じて対話が出来るのなら、汎ゆる壁を 越えて手を取り合う事だって出来るんだ……って」
此れまでの皇帝や、他国とは違うやり方で臨む、和平への道。
其れ即ち――助け合いと共存に依って、安定した平和を実現させる事。
其れが、セオドールが実現させたい、たった一つの願い。
セオドール
「……だから、こそ」
「私は……勅命の通りに……皇帝に、なる、よ」
「私は……勅命の通りに……皇帝に、なる、よ」
セオドール
「……そう、望まれている、なら」
ダルガイラス
「……セオドール様」
此の第二皇子、意外に頑固な処が在る。
其れを理解しているが故に――教育係は、もう、何も言えない。
セオドール
「……ガイラス」
セオドール
「……一緒に。力になって、くれる?」
セオドールにとって、ダルガイラスだけが、自分を理解しようとしてくれる人。
セオドールにとって、ダルガイラスだけが、心から許せる味方。
セオドールにとって、ダルガイラスだけが――
ダルガイラス
「当然でしょう」
ダルガイラスは知っている、セオドールがどれだけ寂しがり屋か。
ダルガイラスは知っている、セオドールが
ダルガイラスは知っている、そんなセオドールが数年前に1度だけ、
ダルガイラス
「ずっと、御傍に居りましょう」
ダルガイラス
「私は、貴方の騎士 ですから」
――後日。
ナポレオナス帝の跡を継ぐ新皇帝セオドールの戴冠式が、恙無く行われた。
尤も、殆どの臣下や民は、喜ばしいどころか怪訝な感情で受け止めたが。
其の日。
昼間でも良く視える程に輝く流れ星を、丁度空を見ていた数人が目撃したという。
そして、其の夜――セオドールは"流れ星が自分に向かって飛び込んで、自分の中に入り込む"という夢を視たのだが、其れは誰にも告げられなかった。
――さぁ、逋セ縺ィ蜈ォ蝗樒岼の