◾︎◾︎は流転しない。

ENo.3.白色の髪の青年"アクア" / 作成:2026/08/30 19:17 / 更新:2026/08/30 19:24
思い出した記憶はどれも幸せなものばかりで。
けれど、その場には戻っては行けない気がした。

ほんの僅かな時間かもしれない。
もしくは、無限にも近い時間が過ぎ去ってしまったのかもしれない。
分からなかった。けれど。その節々はファインダーの向こう側のようだった。

……記憶というのがアルバムだとしたら、
それはとても長い間開かれていなくて。欠片だけで、
色あせていて、幸せそうなものだった。

自分自身はと言うと。
そのアルバムの古ぼけた数枚の写真から、
自分の体が復元されたような気がしていた。

そう、構築する要素が空っぽ、と言うよりはどうにも欠けていて。
けれど、それは僅かな未練なのかもしれなかった。
その思い出が、薄く魂を引いていた。


かつての後悔と遠く。


後悔は遠く、遠く、消えないでそこにある。

けれど、それは全て悪い物じゃなかったからですよ。
起点は確かにどん底でした。けれどそこから
ふざけて、楽しんで、自由にして。

思い出のアルバムは積み重なって、また会おうと言った人が増えて。
時々、居なくなった冒険者を思って、
なんとなく自分はまだいる気はしていたけれど。

それはずっと続くものではなく。


さて、自分の最期と言えば。
…………思い出してはいる。
思い出した。


そう、思い出して。
尚更、かえる帰る・還ることが出来なくなった。



区切り線は自分で付けてしまっていたからだ

余談として。
崖から落下して、死んだものかと思っていた。けれどそれは違った。
幸いにも落下しても、生きながらえていた。
………人じゃなくなっていたけれど、
それに気がつかないで、暫く過ごして。
ふと、自分は危ないことも多かったな、なんて思い返して。

それで記憶の糸を辿れば、人の形でも、人でないことを思い出して、
人で無い事実を受け入れられなくて。
また、動揺して。

同じような崖が見えて。それで。



それがまた、巡りに帰っていくのは違う気がした。
だからこそ、地の底へ。
地の底ではなく、ただ苦しい、無の空間かもしれない。

けれど、このあわいから、立ち去れば
また戻ることも無く。
考え続けよう、思い出そうとしよう。

忘れたなんて言わない為に。