悲劇
机の上には食べかけのケーキ、使い終わった紙皿。
1家が騒いだ形跡
いつもの、平和であたたかな日常だった。
先生と呼ばれる男は椅子に腰掛けたまま、満足そうにその光景を眺めていた。
「……よーし。片付けるか」
「あら、私はもう一休みくらいしておきたいところだったんですが……」
アルがわざとらしく残念そうに言う。
「いつもは止めるとこだけど、わたしも今日くらいはゆっくりしてていいと思うな」
ミナが続ける。
「そうだよ〜今日は誕生日なんだから!」
カーエが先生の肩を軽く押した。
「…え〜そうかな〜」
その言葉をまってたのか、満更でもないように先生は笑う。
7人の笑い声が部屋を満たす
その、刹那
ドカンッッ!!!
───笑い声に異物が混ざる
窓ガラスが震え、部屋の扉が吹き飛ぶ。
「……え?」
誰かが声を上げた。
次の瞬間、武装した人間たちが雪崩れ込んでくる。
「対象の確保を最優先にしろ!他は放っておけ!」
「先生!」
シリカが叫ぶ。
先生は抵抗する間もなく床へ押さえつけられた。
「離せ!俺に何の用だ!」
「お前の技術が必要なんだ」
冷たい声が返ってくる。
「化学物質を人間へ変換する技術。国家にとって価値がありすぎる」
「……断る」
「貴様に拒否権は無い」
「ッ断ると言っているだろうが!誰がお前らの力になどなるものか!!!」
先生の声が響いた。
その姿を見たアルが、一歩前へ出る。
「先生に触らないでくださいますか」
静かな声。けれど確かな怒りがあった。
アルは先生の前へ立った。
「いえ、私たちの家族に触れないで」
「──ア、」
───最悪の場合、生死は問わない。とにかくその場を制圧しろ
ノイズ混じりの声が聞こえた直後、パンッ、と軽い発砲音が響く。
アルの頭部が砕け、床に倒れ込む。
「姉さん!!」
ミナが駆け寄る。
「来るな!」
先生が叫ぶ、しかし遅かった。
まだ、まだ間に合うと思ったんだろう。姉を庇うように立ちはだかり――同じように倒れた。
半身と別れても、なんでもないように笑う
「……先生」
ミナが声をかける
「大丈夫だよ先生」
「ミナ!やめッ」
もはや悲鳴に近い静止を無視して、ミナは兵士の足元に注射針を突き刺す。
「…なっ貴様ッッ」
一拍置いて気づいた兵士が振り払い、銃を乱射する。
ミナの上半身は粉々に砕け、服と混じりあう
なにか薬品を投与された兵士は、段々と呼吸が困難になり、苦しみ悶えながら地面に伏せた。
そこからは、銃声と悲鳴が飛び交う……まさに地獄そのものだった。
残った姉妹たちは薬品を手に取り抵抗する
片腕が吹き飛ぼうが、目が潰れようがほかの姉妹の手を借りて先生を取り返そうと抵抗する。
───決して動きを止めなかった。
先生が必死に止めるよう言っても、それだけは覆られなかった。
しかし
多勢に無勢とでも言うのか。そんな奮闘も虚しく、ゲルを残した姉妹たちは皆粉々になり地面に散らばっている
「……せんせい」
ところどころ欠けた、まだ幼い身体で必死に立ち上がる。
「先生、だいじょうぶだよ」
「ゲル」
「ゲルが……たすけるから」
先生は首を横に振った。
「やめなさい。ゲル、お前は逃げろ」
「やだ」
「ゲル!言うことを聞け!!」
初めてゲルに向けて声を荒らげる
「やだ!」
それに負けじと、ゲルも声を張り上げる。
「先生をおいていかない!また、またみんなで」
小さな身体が、先生を押さえている兵士へ向かって
何度止められても、砕けても
それでもゲルは立ち上がる。
「先生は……ゲル達の先生なの」
「……」
「ゲル達を作って、そだててくれたから……」
泣き出しそうな声で話しかけながら、先生へ手を伸ばす。
「だから……ゲルがたすけるの」
先生は、その手を見つめた。
「……ゲル、やめろ」
「せんせい……」
もう一度、ゲルが手を伸ばす。
あと少し、あと少しで届く。
けれど――
その小さな姿が、ふっと崩れた。
鈍い音と共に
「……あ」
ゲルの手が、空を掴む。
先生の目が見開かれる。
「ゲル……?」
先生の声に答えようと必死に口を開閉するが、声帯を破壊されているのか声が出せない
(……先生、せんせいごめんなさい)
頭の中で謝り続ける
拘束を振り払おうともがく先生。何かを叫んで、手を伸ばした……
必死に、こっちに……………
1家が騒いだ形跡
いつもの、平和であたたかな日常だった。
先生と呼ばれる男は椅子に腰掛けたまま、満足そうにその光景を眺めていた。
「……よーし。片付けるか」
「あら、私はもう一休みくらいしておきたいところだったんですが……」
アルがわざとらしく残念そうに言う。
「いつもは止めるとこだけど、わたしも今日くらいはゆっくりしてていいと思うな」
ミナが続ける。
「そうだよ〜今日は誕生日なんだから!」
カーエが先生の肩を軽く押した。
「…え〜そうかな〜」
その言葉をまってたのか、満更でもないように先生は笑う。
7人の笑い声が部屋を満たす
その、刹那
ドカンッッ!!!
───笑い声に異物が混ざる
窓ガラスが震え、部屋の扉が吹き飛ぶ。
「……え?」
誰かが声を上げた。
次の瞬間、武装した人間たちが雪崩れ込んでくる。
「対象の確保を最優先にしろ!他は放っておけ!」
「先生!」
シリカが叫ぶ。
先生は抵抗する間もなく床へ押さえつけられた。
「離せ!俺に何の用だ!」
「お前の技術が必要なんだ」
冷たい声が返ってくる。
「化学物質を人間へ変換する技術。国家にとって価値がありすぎる」
「……断る」
「貴様に拒否権は無い」
「ッ断ると言っているだろうが!誰がお前らの力になどなるものか!!!」
先生の声が響いた。
その姿を見たアルが、一歩前へ出る。
「先生に触らないでくださいますか」
静かな声。けれど確かな怒りがあった。
アルは先生の前へ立った。
「いえ、私たちの家族に触れないで」
「──ア、」
───最悪の場合、生死は問わない。とにかくその場を制圧しろ
ノイズ混じりの声が聞こえた直後、パンッ、と軽い発砲音が響く。
アルの頭部が砕け、床に倒れ込む。
「姉さん!!」
ミナが駆け寄る。
「来るな!」
先生が叫ぶ、しかし遅かった。
まだ、まだ間に合うと思ったんだろう。姉を庇うように立ちはだかり――同じように倒れた。
半身と別れても、なんでもないように笑う
「……先生」
ミナが声をかける
「大丈夫だよ先生」
「ミナ!やめッ」
もはや悲鳴に近い静止を無視して、ミナは兵士の足元に注射針を突き刺す。
「…なっ貴様ッッ」
一拍置いて気づいた兵士が振り払い、銃を乱射する。
ミナの上半身は粉々に砕け、服と混じりあう
なにか薬品を投与された兵士は、段々と呼吸が困難になり、苦しみ悶えながら地面に伏せた。
そこからは、銃声と悲鳴が飛び交う……まさに地獄そのものだった。
残った姉妹たちは薬品を手に取り抵抗する
片腕が吹き飛ぼうが、目が潰れようがほかの姉妹の手を借りて先生を取り返そうと抵抗する。
───決して動きを止めなかった。
先生が必死に止めるよう言っても、それだけは覆られなかった。
しかし
多勢に無勢とでも言うのか。そんな奮闘も虚しく、ゲルを残した姉妹たちは皆粉々になり地面に散らばっている
「……せんせい」
ところどころ欠けた、まだ幼い身体で必死に立ち上がる。
「先生、だいじょうぶだよ」
「ゲル」
「ゲルが……たすけるから」
先生は首を横に振った。
「やめなさい。ゲル、お前は逃げろ」
「やだ」
「ゲル!言うことを聞け!!」
初めてゲルに向けて声を荒らげる
「やだ!」
それに負けじと、ゲルも声を張り上げる。
「先生をおいていかない!また、またみんなで」
小さな身体が、先生を押さえている兵士へ向かって
何度止められても、砕けても
それでもゲルは立ち上がる。
「先生は……ゲル達の先生なの」
「……」
「ゲル達を作って、そだててくれたから……」
泣き出しそうな声で話しかけながら、先生へ手を伸ばす。
「だから……ゲルがたすけるの」
先生は、その手を見つめた。
「……ゲル、やめろ」
「せんせい……」
もう一度、ゲルが手を伸ばす。
あと少し、あと少しで届く。
けれど――
その小さな姿が、ふっと崩れた。
鈍い音と共に
「……あ」
ゲルの手が、空を掴む。
先生の目が見開かれる。
「ゲル……?」
先生の声に答えようと必死に口を開閉するが、声帯を破壊されているのか声が出せない
(……先生、せんせいごめんなさい)
頭の中で謝り続ける
拘束を振り払おうともがく先生。何かを叫んで、手を伸ばした……
必死に、こっちに……………