おしまいの後日談

ENo.73.タンザ / 作成:2026/08/30 23:38 / 更新:2026/08/30 23:38
泡になって消えるはずだったあたしに訪れた神様からの贈り物。
死ぬまでに見るうたかたの夢。
あたしにとって、ここはそういう場所だった。

ユウの話では、あたしはこの後風の精霊になって、
いいことを積み重ねていった先に不滅の魂を得るんですって。
泡になって消えるだけだったあたしにもう一度チャンスが訪れるんですって。

とっても素敵なことだと思ったの。
おしまいだったあたしの物語に、続きが書き足されていくような気がして。

風のせいれになったら、まずは王子様たちの様子を見に行こう。
笑っているかしら、悲しんでいるかしら。
あたしは王子様に恋したままではいられなかったけど、二人の幸せを祈れることが今は温かく感じる。

そのあとにお姉様たちのところへも行ってみよう。
きっと悲しませてしまっているから。
長い髪を代償に作ってくれたナイフを振り下ろせなくてごめんなさい。
最後にお別れを言えなくてごめんなさい。
お姉様たちは、これからずっと長く生きるだろうけれど、
あたしよりもっとずっと幸せになってほしいと思っているから。

生まれ変わったら何になろうかしら。
本当の人間になってみるのもいい。また人魚になって、今度こそ終わりを決めて生きるのもいい。
ここで会ったお友達とまた会えたらもっと嬉しいわ。

出会ったみんなが幸せでいてくれたらいいな。
理解できない罪を抱えたまま地獄へ進むあの子も
友達とずっと一緒にいたいと思って元の世界に戻るあの子も
大好きな人とまた会うために生まれ変わるあの子も

ここは後日談の世界。誰にも記憶されず、記録されず、忘れられていく物語たちの場所。
次の生に引き継がれなくても、もう二度と会えなくても。
本当に楽しかった。それだけは本当のことなのよ。