序-はじまりのうた
──────それは、幸福な生涯でした───
野鳥だった私 はある日、怪我をして飛べなくなってしまったところを、偶然通りかかった彼女に拾われました。
私は手当てを施され、幸いにも一命を取り留めましたが、痛めた翼では再び飛ぶことも叶いません。
それ以来、鳥籠の中の止まり木が私の新しい棲み処になりました。
空も飛べない私を、彼女はとても大切にしてくれたのを覚えています。
自然から離れた環境の中で少しでも快適に過ごせるよう工夫を凝らし、食べ物と水も毎日欠かさず与えてくれました。
初めは不安で眠れなかった私も、次第に安らぎを覚えるようになっていきました。
中でも彼女の口ずさむ歌が大好きで、私が合わせて鳴くと彼女も嬉しそうに笑ってくれて。
いつしか、私と彼女はかけがえのない家族のような関係になっていったのです。
……ですが、そんな日々にも終わりが訪れます。
私は重い病に侵され、獣医にも連れていってもらいましたが、治療は難しいとのことでした。
日に日に弱っていく私を見る彼女の悲しそうな表情が、今でも目に焼き付いています。
もしも人間 の言葉が話せたのなら、その頬に伝う涙を拭うことができたなら。
───泣かないで。
───今までありがとう。
せめて最期に、それだけ伝えたかった。
思えば、あの怪我をした日に終わっていても不思議ではなかった命。
彼女と出会い、彼女と共に生きることができて、私はとても幸福でした。
どうか、彼女のこれからに幸多からんことを。
そして願わくば、来世は人間 として再び彼女と巡り逢えますように。
野鳥だった
私は手当てを施され、幸いにも一命を取り留めましたが、痛めた翼では再び飛ぶことも叶いません。
それ以来、鳥籠の中の止まり木が私の新しい棲み処になりました。
空も飛べない私を、彼女はとても大切にしてくれたのを覚えています。
自然から離れた環境の中で少しでも快適に過ごせるよう工夫を凝らし、食べ物と水も毎日欠かさず与えてくれました。
初めは不安で眠れなかった私も、次第に安らぎを覚えるようになっていきました。
中でも彼女の口ずさむ歌が大好きで、私が合わせて鳴くと彼女も嬉しそうに笑ってくれて。
いつしか、私と彼女はかけがえのない家族のような関係になっていったのです。
……ですが、そんな日々にも終わりが訪れます。
私は重い病に侵され、獣医にも連れていってもらいましたが、治療は難しいとのことでした。
日に日に弱っていく私を見る彼女の悲しそうな表情が、今でも目に焼き付いています。
もしも
───泣かないで。
───今までありがとう。
せめて最期に、それだけ伝えたかった。
思えば、あの怪我をした日に終わっていても不思議ではなかった命。
彼女と出会い、彼女と共に生きることができて、私はとても幸福でした。
どうか、彼女のこれからに幸多からんことを。
そして願わくば、来世は