精神漂白薬-Albus-

ENo.17.キュラソー / 作成:2026/08/27 03:48 / 更新:2026/08/27 04:17
神は幼い子どもを好むとされている。
成熟した大人よりも、生まれて間もない子どもの方が純粋とされるからだ。
かつての出来事より、神は欲深い大人を厭うとされていた。
しかし、幼き子どもばかりを捧げれば我らは衰退の道へと進んでしまう。

では、と考えたのは教会に所属する薬師であった。
「大人から欲望を剥ぎ取ればいいのではないか?」

そう考えられ、開発されたのが精神漂白薬-Albus-と呼ばれる物である。
無論、この薬は一般には知られぬよう秘匿されている。

精神漂白薬-Albus-は継続的な投与により、前頭前野の機能低下、および海馬を中心とする記憶形成、想起の機能を弱める効果を発揮する。
それらによってもたらされる症状は以下の通り。
・成熟と共に発達した欲望や執着、打算、自己保存、社会的地位への関心などを失わせる。
・長期的、かつ打算的な思考が出来ないようにする。
・己の人生の意味、過去の感情、執着を薄くする。
・未来に対する自己投資という考えを弱くする。

これらの効果により、感情を残しつつも複雑な欲望を構築する能力を削り、大人を幼子へと引き戻すのが漂白薬である。
知識はあり、事実の記憶もある程度残されるが、それらに付随する執着心を失くす事が可能となる。

試験的にこの薬が使用される事となったのは、比較的最近の事であった。