乞う事時にて願われし呪われし、愛故の

ENo.83.シュガー・シュトーレン / 作成:2026/08/28 08:20 / 更新:2026/08/28 08:20
──彼との日々が始まって、いくつの春を迎えたかしら

私は、彼に魔法を教え
彼は、私に人のことを教えてくれたわ


時折、街の方で流行っているスイーツだとか
火を使わなくても、明るくなる 電球のことだとか
挙句には、たくさんの思い出話をしてくれた


「なんて、楽しいんでしょう」

私は彼の話を聞くのが好きだった
たくさんの知らないことを教えてくれて


……私が彼にしてあげていることで、返しきれているのか
わからなかった。


「だから、ある日聞いたの。
……それが、間違いだった」
「彼の"呪い"は、強かった」









『ねぇ、███さん』

『ふと気になったんだけど〜……
なんで私と、居てくれるのかな、って』


日常の一コマ
なんてことのない日、平和な日々
そんな一節


問うた質問


『ほら、結局のところ人って"魔法"に対して良く思ってない…、し
それを、貴方に教えているけれど』
『……私が教えてあげてることなんて、ほとんどないじゃない?』


両手の指と指を合わせて、また離して、そんな忙しなく。
目線が合わないのは多分、私が彼の回答を気にしているからなのだろうな


彼はハーブティーを一度置いて
貴方と目線が合わない、私の顔を見つめながら




「貴女が許してくれるなら
オレは貴女とずっと居たいと思っていて」



オレは貴女と居れることが、幸せです



………彼はそう
キッパリと、言い切った

なんて事ないみたいに、口から本心が零れたみたいに



「だから、その……、大切な人と一緒に居たいって理由は……
ちょっと…弱いかな?」



そう言い切った、あと、少し、彼は笑って、ほんの少しだけ、彼の耳が赤くなった気がする

嘘なんてちっとも感じなかった、本心からの言葉を。

その言葉を飲み込むのが、遅れてしまったのを覚えているわ。
だって、あまりにも、わがままだったんだもの!





『……ほんとに』
『変わってる人』


クスッと笑った、笑ってしまった。
貴方のその姿がどうしようもなく可愛くあったのと同時に、素敵でもあった


そして、ようやく貴方と目線があった時
私は少しだけ、目が潤んでいたような気がする
安堵や、安心、そういった感情で




『私も、貴方と居れて』
貴方と出会えて、良かったって、思ってる



なんてことのない日
平和な日常はそうして
花咲く春のように


少しだけ、暖かくって
忘れられない日になった



彼の"呪い我儘"は、私の心に
深く、残ってしまった

彼と一緒にいたいという"呪いまじない"は
彼の心に、残ってくれたでしょうか



「彼にすっかり、絆されてしまったのよ。
だから、私は彼にとびっきりの我儘を言い返すことにしたの」

「彼に、全部を託して」