あの子はだあれ

ENo.78.カヤ / 作成:2026/08/23 01:21 / 更新:2026/08/23 01:21
目を開いた先の景色に、私は死んだのだなと理解しました。

視界を塞ぐ煙、喉の焼ける熱、そして迫りくる炎。
そう、あの戦火に巻き込まれて私は死んだのです。
仲間は逃げ切れたのでしょうか。国はどうなったのでしょうか。

そして何より――”あの子”は無事なのかと。

「…あら?」

間違いなくいたのです。
小さな小さな”あの子。”大事な大事な、私の“あの子”。
ああ、でも思い出せない。
絶命の瞬間も何もかも覚えているのに、“あの子”だけが思い出せない。

…分かっているのです。きっとこれは罰。
世界から”あの子”を隠した、私への罰なのでしょう。
でも、それでも。
欠片だけでも、“あの子”を抱きしめていたくて。

だから、迷子の記憶を私は探すのです。


「誰か、“私の記憶あの子”を知りませんか?」