”あの子”の名前は

ENo.78.カヤ / 作成:2026/08/30 23:29 / 更新:2026/08/30 23:29
あわいに来てから七日間。

美しいものを見た。
おぞましいものを見た。
悲しいものを見た。
優しいものを見た。

そこに残された想いや物と共に、鮮やかに蘇ったのは”あの子”の姿で。

あなたを表舞台戦争の矢面に立たせたくなどなかった。
――だって悲しい思いなんてしてほしくなかったから。
だから、あなたを世界から隠した異世界へと送ったの。
――でもずっとね、ずっと一緒にいたかった。

何故忘れていたのか。きっと世界が私を恨んだからでしょう。
だから私は償わなければいけない。在るべきだった穏やかな世界を壊したのだから。
世界が私を罰さずとも、初めからその覚悟はあったのです。

悔いはある。
時間がなかったとはいえ、”あの子”に何も知らせないまま手を離してしまったこと。
心残りだってある。
”あの子”のこれからを、見守れなくなってしまったこと。約束を守れなかったこと。
…“あの子”を置いて、命を落としてしまったこと。

でも私は行かなくてはいけない。世界に許しを請うために。
――でももしいつか、それが全て清算されたのならば。

「私は、あなたがいる世界へ辿り着けるかしら――ねえ、ニワ」

いつかまた巡り合えるその時まで。
きっと幸せに笑っていてね。私の大事な、妹。