ありふれた不幸、ちょっとの幸運
具体的に、何時何分頃に死ぬとか。
詳しい死因までは分からないから。
痛くないといいなあとか、苦しくないといいなあとか。いや、無理か……とか。
そういうの考えながら、なるべく誰かのトラウマにならないといいなあと思って、人気のない場所に居ることにした。
できれば死んだことにも気付かないぐらい、一思いにやって欲しかったんだけど、さ。
誰かの悲鳴。
上の方から聞こえて、見上げたら。
落ちてくる人と目が合った。
スローモーション。世界が全部遅くなって。
……この感覚、本当にあるんだって思った。
真っ直ぐ、真っ直ぐ落ちてくる。
どんどん、距離は縮まって。
ぐしゃぐしゃの顔で泣いてるの、見えて。
悲鳴あげてたの、目の前の人じゃないってことも気付いた。
ここより、空に近い場所。
屋上で誰かが叫んでる。
転落死。
それも多分、飛び降り。
でも、その人。
頭の上の数字、0じゃなかった。
なんなら結構、大きくて。
ああ、
よかった、って思った。
この人はまだ、生きていくんだ。
あたしを下敷きにして。助かる。
多分、奇跡的な確率だと思う。
それがこの人にとって、救いかどうかは分からないけど。
必死に届かない手こっちに伸ばしてる、あの人のためにはなれるかな。
そりゃあ、ちょっとは羨ましかった。
自分で死を選ぶ人じゃなくて、なんであたしが?ってのは。ずっと思ってたし。
けど、あたし以外の人間もさ。
不平等の中を、平等に生きてるんだよね。
当然、この人もきっとそうだった。
どうあったって、皆死ぬまでは生きてるんだ。
数字ははじめから決まってて。
覆らない。
いつ死ぬかわからない怖さは、わかってあげられないけど。
君のこと、人殺しの犯罪者にしちゃうのは申し訳ないけど。
君の運命を、あたしが変えてあげられたわけじゃないけど。
どうせ生きていくんなら、暗い顔してちゃ勿体ない!
死ぬのが怖くないって言ったら嘘になる。
それでも。
「ちゃんと、」「生きてね」
笑って、だきとめた。
鈍い、音。
肺の中の空気が、押し出される。
衝撃が全部、あたしに伝わ、って、
当然、吸収しきれな、
い、
あ、
これ、
頭、
打つ。
……、
やっぱ、
髪色、明るすぎたなあ。
詳しい死因までは分からないから。
痛くないといいなあとか、苦しくないといいなあとか。いや、無理か……とか。
そういうの考えながら、なるべく誰かのトラウマにならないといいなあと思って、人気のない場所に居ることにした。
できれば死んだことにも気付かないぐらい、一思いにやって欲しかったんだけど、さ。
誰かの悲鳴。
上の方から聞こえて、見上げたら。
落ちてくる人と目が合った。
スローモーション。世界が全部遅くなって。
……この感覚、本当にあるんだって思った。
真っ直ぐ、真っ直ぐ落ちてくる。
どんどん、距離は縮まって。
ぐしゃぐしゃの顔で泣いてるの、見えて。
悲鳴あげてたの、目の前の人じゃないってことも気付いた。
ここより、空に近い場所。
屋上で誰かが叫んでる。
転落死。
それも多分、飛び降り。
でも、その人。
頭の上の数字、0じゃなかった。
なんなら結構、大きくて。
ああ、
よかった、って思った。
この人はまだ、生きていくんだ。
あたしを下敷きにして。助かる。
多分、奇跡的な確率だと思う。
それがこの人にとって、救いかどうかは分からないけど。
必死に届かない手こっちに伸ばしてる、あの人のためにはなれるかな。
そりゃあ、ちょっとは羨ましかった。
自分で死を選ぶ人じゃなくて、なんであたしが?ってのは。ずっと思ってたし。
けど、あたし以外の人間もさ。
不平等の中を、平等に生きてるんだよね。
当然、この人もきっとそうだった。
どうあったって、皆死ぬまでは生きてるんだ。
数字ははじめから決まってて。
覆らない。
いつ死ぬかわからない怖さは、わかってあげられないけど。
君のこと、人殺しの犯罪者にしちゃうのは申し訳ないけど。
君の運命を、あたしが変えてあげられたわけじゃないけど。
どうせ生きていくんなら、暗い顔してちゃ勿体ない!
死ぬのが怖くないって言ったら嘘になる。
それでも。
「ちゃんと、」「生きてね」
笑って、だきとめた。
鈍い、音。
肺の中の空気が、押し出される。
衝撃が全部、あたしに伝わ、って、
当然、吸収しきれな、
い、
あ、
これ、
頭、
打つ。
……、
やっぱ、
髪色、明るすぎたなあ。