おわり、そしてつづきから
ソリュードくんに殺された。
そう思っていたら、今度は『あわい』なる世界に来ていた。
また異世界なの?そう思ったけれど。
胸に手を当てても心音が、鼓動が、聞こえない。肌の色も悪い。
服には不自然に縫われた跡がある。ソリュードくんに刺された場所だ。
聞こえて来た話からするに、他の人達もどうやら僕と同じく死者だという事。
そうして気がついた。
ここは死後の世界のようなものだと。
ここでは色々な人にあった。
恐らくみんな、僕とは異世界の人達だ。
人間も、そうでもないヒトも、動物もいっぱい居た。
みんな、生前に様々な思いを。過去を背負っていた。
中には過去の事を何も覚えてないっていう人も居たけれど。
いろんな人達の話を聞いていて思った。
世の中はどこまでも理不尽で、どう足掻いてもどうにもならない事も有るって。
僕とソリュードくんの事だってそうだ。
僕はどうすれば良かったんだろう?
彼を信じなければ良かったのか。
でも、それでも辿る結末はきっと同じだったと思う。
どうにもならない。
もしも幽霊としてあの世界に戻れたならば。
彼が僕が言った最後のお願いを聞いてくれていないようなら化けて出てやろうとかと思ったけど。
やめた。
僕はシュベルグさんのこともソリュードくんのことも恨んでない。
例え騙されていたとしても、最後に見捨てられたのだとしても。
あの城で過ごした日々も僕にとっては良い経験で、思い出だ。
偽りの友情でも楽しかったのは、本当だから。
それに、今。
僕の隣にはセフィーラおねえさんがいる。
彼女を励ました手前、僕が後ろを向いてなんていられない。
狭間さんとも「責任を持って彼女を幸せにする」って約束をしたし。
案内人さんが示してくれた生き先は三つだった。
転生か、地獄か、現世に戻るか。
ただし、現世に戻る場合はそれは必ずしも蘇生が叶うということではないらしい。
それならば僕は、僕達は輪廻転生の道を選ぶ。
セフィーラおねえさんと共に。
一緒の世界に生まれられるかどうか、わからないけれど。
祈ろう。
二人で輪廻の輪に還り同じ世界に生まれる事を――
……………
…………
………
……
…
朝、目を覚ますとそこには見知った天井が。
僕の部屋の、ベッドの上。
スマホを取って、日付を見る。
僕が異世界に行ったその翌日だ。
今までの事は全て夢だったのだろうか?
眠い目を擦りながら起きて、パジャマから服を着替えて部屋を出る。
リビングに向かうとそこには父さんと母さん。
そして、セフィーラおねえさんがそこに居た。
「おはようございます、リン」
おねえさんが優しく微笑む。
どうやら今までの事は夢ではなかったらしい。
寧ろ『これが夢か?』と思ったくらいだ。
思わず目を丸くしていると父さんから「どうしたんだ」と聞かれた。
母さんからも「朝ごはんできてるから早く一緒に食べましょう」と言われた。
なんだかよくわからないままにおねえさんも一緒にテーブルを囲み、朝ご飯を食べた。
話を聞くにおねえさんは北欧の国から僕の家にホームステイに来ている人、という事になっているらしい。
僕もおねえさんも『あわい』での記憶もそれ以前の世界での記憶も残っていた。
でもおねえさんにはこの世界での戸籍も経歴もちゃんと有って。
まるで僕らのために世界が書き換えられたような、そんな風に感じた。
もしくは僕の世界によく似たパラレルワールドにまた『自分』として生まれ、今、二人揃って前世の記憶を取り戻したのかもしれない。
よく見るとおねえさんの腕には『あわい』で着けていた綺麗な腕輪が。
僕の部屋にも机の上におねえさんから貰ったお揃いの腕輪が置いて有った。
『あわい』での願い通り、この腕輪の導きの元に二人一緒に同じこの世界で生まれ落ちることができたんだろう。
それから。
おねえさんは大学に通う傍ら、教会にも足を運び亡き恋人さんやかつての仲間達への贖罪の祈りを捧げ続けていた。
僕も普通の小学生に戻り、おねえさんと共に平穏に暮らしている。
もしかするとシュベルグさんはこの事に気づいたのかもしれない。
一度死なせ、『あわい』を経由しなければ僕を元の世界に戻せる可能性が無いのだと。
ソリュードくんの欲を満たしつつ僕の事も元の世界に帰す、一石二鳥の方法。
――なんて、都合が良すぎる考えかな。
『あわい』で出会った皆も、今頃どうしているだろうか?
狭間さんは新しい人生で新たな物語を紡げているかな。
フィレンツォさんは生き返ることができただろうか。
ローティスさんも、ラムネさんも、あの可愛い黒ヤギさんも、僕に女装をさせたあの人にも、幸せになっていてほしい。
学校で一緒に給食を食べた皆、授業を受けた皆、先生達、木の実ガチャをした皆も。
皆がどの道を選択したのかわからないけれど。
各々が決めた選択の先が、善き道でありますように。
とにもかくにも。
『あわい』での日々を越えて、僕達は新たな命と未来を手に入れたのだった。
fin.
*今回の日記はセフィーラPLさんの同意と監修のもと執筆しています。ありがとうございました!
そう思っていたら、今度は『あわい』なる世界に来ていた。
また異世界なの?そう思ったけれど。
胸に手を当てても心音が、鼓動が、聞こえない。肌の色も悪い。
服には不自然に縫われた跡がある。ソリュードくんに刺された場所だ。
聞こえて来た話からするに、他の人達もどうやら僕と同じく死者だという事。
そうして気がついた。
ここは死後の世界のようなものだと。
ここでは色々な人にあった。
恐らくみんな、僕とは異世界の人達だ。
人間も、そうでもないヒトも、動物もいっぱい居た。
みんな、生前に様々な思いを。過去を背負っていた。
中には過去の事を何も覚えてないっていう人も居たけれど。
いろんな人達の話を聞いていて思った。
世の中はどこまでも理不尽で、どう足掻いてもどうにもならない事も有るって。
僕とソリュードくんの事だってそうだ。
僕はどうすれば良かったんだろう?
彼を信じなければ良かったのか。
でも、それでも辿る結末はきっと同じだったと思う。
どうにもならない。
もしも幽霊としてあの世界に戻れたならば。
彼が僕が言った最後のお願いを聞いてくれていないようなら化けて出てやろうとかと思ったけど。
やめた。
僕はシュベルグさんのこともソリュードくんのことも恨んでない。
例え騙されていたとしても、最後に見捨てられたのだとしても。
あの城で過ごした日々も僕にとっては良い経験で、思い出だ。
偽りの友情でも楽しかったのは、本当だから。
それに、今。
僕の隣にはセフィーラおねえさんがいる。
彼女を励ました手前、僕が後ろを向いてなんていられない。
狭間さんとも「責任を持って彼女を幸せにする」って約束をしたし。
案内人さんが示してくれた生き先は三つだった。
転生か、地獄か、現世に戻るか。
ただし、現世に戻る場合はそれは必ずしも蘇生が叶うということではないらしい。
それならば僕は、僕達は輪廻転生の道を選ぶ。
セフィーラおねえさんと共に。
一緒の世界に生まれられるかどうか、わからないけれど。
祈ろう。
二人で輪廻の輪に還り同じ世界に生まれる事を――
……………
…………
………
……
…
朝、目を覚ますとそこには見知った天井が。
僕の部屋の、ベッドの上。
スマホを取って、日付を見る。
僕が異世界に行ったその翌日だ。
今までの事は全て夢だったのだろうか?
眠い目を擦りながら起きて、パジャマから服を着替えて部屋を出る。
リビングに向かうとそこには父さんと母さん。
そして、セフィーラおねえさんがそこに居た。
「おはようございます、リン」
おねえさんが優しく微笑む。
どうやら今までの事は夢ではなかったらしい。
寧ろ『これが夢か?』と思ったくらいだ。
思わず目を丸くしていると父さんから「どうしたんだ」と聞かれた。
母さんからも「朝ごはんできてるから早く一緒に食べましょう」と言われた。
なんだかよくわからないままにおねえさんも一緒にテーブルを囲み、朝ご飯を食べた。
話を聞くにおねえさんは北欧の国から僕の家にホームステイに来ている人、という事になっているらしい。
僕もおねえさんも『あわい』での記憶もそれ以前の世界での記憶も残っていた。
でもおねえさんにはこの世界での戸籍も経歴もちゃんと有って。
まるで僕らのために世界が書き換えられたような、そんな風に感じた。
もしくは僕の世界によく似たパラレルワールドにまた『自分』として生まれ、今、二人揃って前世の記憶を取り戻したのかもしれない。
よく見るとおねえさんの腕には『あわい』で着けていた綺麗な腕輪が。
僕の部屋にも机の上におねえさんから貰ったお揃いの腕輪が置いて有った。
『あわい』での願い通り、この腕輪の導きの元に二人一緒に同じこの世界で生まれ落ちることができたんだろう。
それから。
おねえさんは大学に通う傍ら、教会にも足を運び亡き恋人さんやかつての仲間達への贖罪の祈りを捧げ続けていた。
僕も普通の小学生に戻り、おねえさんと共に平穏に暮らしている。
もしかするとシュベルグさんはこの事に気づいたのかもしれない。
一度死なせ、『あわい』を経由しなければ僕を元の世界に戻せる可能性が無いのだと。
ソリュードくんの欲を満たしつつ僕の事も元の世界に帰す、一石二鳥の方法。
――なんて、都合が良すぎる考えかな。
『あわい』で出会った皆も、今頃どうしているだろうか?
狭間さんは新しい人生で新たな物語を紡げているかな。
フィレンツォさんは生き返ることができただろうか。
ローティスさんも、ラムネさんも、あの可愛い黒ヤギさんも、僕に女装をさせたあの人にも、幸せになっていてほしい。
学校で一緒に給食を食べた皆、授業を受けた皆、先生達、木の実ガチャをした皆も。
皆がどの道を選択したのかわからないけれど。
各々が決めた選択の先が、善き道でありますように。
とにもかくにも。
『あわい』での日々を越えて、僕達は新たな命と未来を手に入れたのだった。
fin.
*今回の日記はセフィーラPLさんの同意と監修のもと執筆しています。ありがとうございました!