みつとしまてどもなおあしたたず

ENo.59.葦舟積羽 / 作成:2026/08/24 00:31 / 更新:2026/08/24 00:31
え? いや、エベッサンはエベッサンでっしゃろ。知りまへんの?

うーん。

缶ビールとかに描いてある、鯛もっとるおっちゃん、見たことありまへん?あれです、あれみたいなもんなんですわ。

みたいなもん、て言うんは何でかというと、ええと。エベッサンとえびす様は違うもんやから、なんですわ。

えびす様は、それこそ七福神のえびす様ですわ。大黒様の息子で、釣り竿と鯛持ってニコニコ笑うとる漁の神様です。海沿いでは必ずと言っていいほど祀られとる海の神様です。オレの地元の港町でもえびす様の神社がありまっせ。坂の上の方に、港を望むかたちでお社が建っとります。祭もしちゃぁとりますんで、覚えとったら是非に、いうて。ははは。

で、エベッサンはちゃうんですわ。同じ『えびす』でも、えびす様とエベッサンは全然違ういうんですわ。

ジィさまバァさま曰く、ジィさまバァさまのそのまたジィさまの世代から、此処にはエベッサンがおるいう話は伝わっとったらしいですわ。当たり前のモン、として。

曰くエベッサンは海から来るんやとか。夜の海。風の向き、潮の満ち引きが変わって、陸から海へと風が吹くようになっとる夜の海で、その流れに逆らうように、海から陸へと流れ着いてくるもんなんだそうです、エベッサンってのは。

ほんで、そのエベッサンのことは大事にせなならんが、構ってもあかん、て何度も言われとりました。矛盾しとるように思いますやろ。ほんでも、ジィさまバァさまたちは、えらい真剣に語っとったんです。エベッサンを見たらえらいことが起こるんや、と。



せやから、あの時俺が見たアレも、エベッサンやったんやと思います。
でなけりゃ今、こうなっとりませんもん。