消滅
「じゃあな、我が愛おしきミクスティオ!」
魔法使いは笑っていました。
自分の魂も身体も丸ごと全部、魔術回路も焼き切れんばかりに稼働させて、生涯かけて貯めていた魔力もありったけ。
それでも必ず証明できるという確信はなかったのです。
まさに一世一代の晴れ舞台。賭け事でもこれ以上のものはそうそうないでしょう、少なくとも魔法使いにとってはそうでした。
賭けに負ければ、ただの無駄死にです。
賭けに勝って、奇跡を生み出すことに成功したとしても、世界がそれをどう扱うのか、それを見届けることはできません。
魔法使いはそれでもよかったのです。
いいえ、それでいいのです。
きっと、何者かなんて後世には遺らないでしょう。
それでも、きっと魔法使いの生み出した魔法は人々と世界に永い時をかけて織られる浪漫 をもたらすでしょう。
彼の生み出した魔法は《世織り》と呼ばれる生きた魔法。
それは永い時をかけてある一つの物事を紋様として織りあげていくもの。
今まさに消滅していく魔法使いのように、たった一つの魔法だけを遺して世界に溶けて消える儚くも美しい奇跡でした。
後のある世織りの織り機は言いました。
「《世織り》 は証明したいんじゃないかしら。
知りたいと思った、たった一つの物事が、どんなにかけがえのない価値があるのかを」
………それは、魔法使いの追い求めた、ただ一つの浪漫と同じ夢でした。
魔法使いは笑っていました。
自分の魂も身体も丸ごと全部、魔術回路も焼き切れんばかりに稼働させて、生涯かけて貯めていた魔力もありったけ。
それでも必ず証明できるという確信はなかったのです。
まさに一世一代の晴れ舞台。賭け事でもこれ以上のものはそうそうないでしょう、少なくとも魔法使いにとってはそうでした。
賭けに負ければ、ただの無駄死にです。
賭けに勝って、奇跡を生み出すことに成功したとしても、世界がそれをどう扱うのか、それを見届けることはできません。
魔法使いはそれでもよかったのです。
いいえ、それでいいのです。
きっと、何者かなんて後世には遺らないでしょう。
それでも、きっと魔法使いの生み出した魔法は人々と世界に
彼の生み出した魔法は《世織り》と呼ばれる生きた魔法。
それは永い時をかけてある一つの物事を紋様として織りあげていくもの。
今まさに消滅していく魔法使いのように、たった一つの魔法だけを遺して世界に溶けて消える儚くも美しい奇跡でした。
後のある世織りの織り機は言いました。
「
知りたいと思った、たった一つの物事が、どんなにかけがえのない価値があるのかを」
………それは、魔法使いの追い求めた、ただ一つの浪漫と同じ夢でした。