アウトフォーカス:2

ENo.26.或る写真家 / 作成:2026/08/24 18:08 / 更新:2026/08/24 18:08
この街の人間はおおよそ死が軽い。
別に悲しまなかったり惜しまなかったりするわけではないが。
死が軽い、としか言いようがなかった。
写真撮りたちは外に出る。
外、というのは。この街の外だけを指すのではない。
この星の外のことも指す。

この星で生まれた人間の大半は、この星から出ることはない。
他の街すら、あまり訪れる機会はない。
自分の生まれた街で、自分の生まれた町に課された職業をこなす。
上から訪れた客をもてなす。
そうして家族を作り、子供を作り、次に繋げるサイクルに横たわる。
そのようにして星めぐり。

写真屋の街は異なった。
その街の人間は大半外に出ていく。
依頼を受けた写真を撮りにいく、人間も確かに多いが。
自分が好むものを撮りにいく人間も、少数派ではなかった。
本来であれば星から星へ、星間移動は許可がいるものであったが。
写真屋の街はそういった都合もあり、大抵はフリーパスで許されている。
そうして、目当てのものがありそうな。
そんな星へと飛んでいく。

フリーパス、というのは自己責任が伴う。
人間が移動する際、護衛を伴うことも多いが。
そんなものを雇わず、1人の身で飛ぶものが大半であった。
未知の生き物がいる。
未知の生態がある。
未知の環境がある。
ある程度の下調べこそするが、写真家は探検家ではない。
その星の環境にやられてお陀仏、なんてことはよくある話だった。
まあ大抵、そのようになるのは『一枚を追い求めすぎた』馬鹿共だけの話ではある。
その馬鹿共が多いから、この街の命は軽かった。
それでも、天涯孤独になる家庭は少ないことだろう。
大抵母親は、結婚した時点で家に居続けることが多かった。
撮るだけではなく、夫の現像の手伝いをするだとか。
“写真屋”としての売り込みをかけるだとか。
そういったサポート役に回るか。
星の中で撮影を済ませている。


男のように亡くなる人間もほとんどいないことだろう。
この仕事を、自由で孤独な仕事だと捉えている割に。
バカのように一枚を追い求めたわけでは、なかった。

ただただ、不運なだけだった。

天涯孤独な家庭で過ごしたくらいには。













「…………」

花畑で拾った家族の写真を眺めている。
仲睦まじい、父母。それから。
兄弟。


あの頃に戻りたかったかと言われると、別にそうでもない。
辿り着くのは1人だと常日頃から思っている。



嘘だった。

兄が、1人居た。