【追憶:アルドヴェイン】
【アルドヴェイン・ハインツ】
フィレンツォの従者にして幼馴染。乳兄弟。
気さくな性格の青年で、
優れた剣の腕を持つ。
帝国や“覇王”のことよりも、
フィレンツォの方がずっと大事。
フィレンツォとは互いに信頼し合っており、
ふたりきりの時は特別な呼び名を使う。
フィレンツォが唯一、
腹を割って本心で話せる相手だったが、
大戦の際に主人を庇って戦死した。
フィレンツォの従者にして幼馴染。乳兄弟。
気さくな性格の青年で、
優れた剣の腕を持つ。
帝国や“覇王”のことよりも、
フィレンツォの方がずっと大事。
フィレンツォとは互いに信頼し合っており、
ふたりきりの時は特別な呼び名を使う。
フィレンツォが唯一、
腹を割って本心で話せる相手だったが、
大戦の際に主人を庇って戦死した。
それは、ある日のささやかな思い出だった。
「生まれ変わったらさ、俺、
フィールのお兄ちゃんになるよ」
フィールのお兄ちゃんになるよ」
ふたりきりの昼下がり。
不意にアルドヴェインが言ったのだ。
「………………。
…………僕の方が誕生日は早いが?」
…………僕の方が誕生日は早いが?」
「知ってるよ、知ってる!
でも俺、お兄ちゃんになって、
頑張り屋のフィールのこと助けてやりてーの」
でも俺、お兄ちゃんになって、
頑張り屋のフィールのこと助けてやりてーの」
「…………ルド。
君には既に、さんざん助けられているが」
君には既に、さんざん助けられているが」
いまいち意図を掴みかねるフィレンツォに、
アルドヴェインが拗ねた顔。
「そういうことじゃねー!」
「ならどういうことなんだ。
分かりやすく説明してくれよ」
分かりやすく説明してくれよ」
「………………」
「俺がお兄ちゃんになって、
フィールが何も背負わなくて良いようにする!
だってフィールは真面目過ぎるから、
ひとりで何もかも背負おうとするじゃんね?」
フィールが何も背負わなくて良いようにする!
だってフィールは真面目過ぎるから、
ひとりで何もかも背負おうとするじゃんね?」
「そんなこと、もう俺がさせないよ、って!」
「………………」
まさかそんなこと言われるなんて、
まるで予想がつかなくて。
フィレンツォは、呆気に取られた顔をした。
「…………僕のことを、
心配してくれるのか」
心配してくれるのか」
「当たり前じゃん!
俺はフィールの従者だけど……
フィールの幼馴染で、兄弟みたいな間柄で!」
俺はフィールの従者だけど……
フィールの幼馴染で、兄弟みたいな間柄で!」
「……心配なんだよ、
いつかお前が潰れてしまわないかって」
いつかお前が潰れてしまわないかって」
「……俺はフィールの為なら、
ふたりで城を出る覚悟だよ。
こんな厄介な場所なんか出て、
ふたりで生きても良いなって! 」
ふたりで城を出る覚悟だよ。
こんな厄介な場所なんか出て、
ふたりで生きても良いなって! 」
「……ちょっと本気だかんな?
馬鹿にすんなよ」
馬鹿にすんなよ」
誰もがフィレンツォに責任を負わせる中で。
アルドヴェインだけが、
そんなことを言ってくれた。
アルドヴェインは、
“ただのフィレンツォ”を見てくれたんだ。
嬉しかった。でも、それでも。
その責任感は、やっぱりどうしても。
「…………だけど僕は此処を出ない、出られない。
第零王子のように愚かな真似は、しない」
第零王子のように愚かな真似は、しない」
「………………」
「そーいうとこがフィールの良いとこであり、
面倒なとこだよなー」
「そーいうとこがフィールの良いとこであり、
面倒なとこだよなー」
「…………好きに言うが良いさ、ルド」
「ま、でもその回答は分かってた。
分かってたから俺は──
従者として、共にいるだけだから!」
分かってたから俺は──
従者として、共にいるだけだから!」
アルドヴェインが、にっと笑った。
「──最期までお供しますよ、
フィレンツォ殿下?」
フィレンツォ殿下?」
ずっと一緒に居られると思っていた。
歩んでいる道は大変でも、
アルドヴェインとなら何処までも、と。
それなのに。
アルドヴェインは、
フィレンツォを庇って命を落とした。
「最期までお供すると言ったじゃないか…………。
ルドの愚か者が…………ッ!」
ルドの愚か者が…………ッ!」
そんな君は、もういない。
「君の提案に夢を見たんだ。
君の存在に……僕は救われていたのにッ!」
君の存在に……僕は救われていたのにッ!」
あまりにも当たり前に隣にいる存在だから、
ありがとうを、言えなかった。
胸に積もるは悲しみと、後悔ばかり。